体重330~380kg、体高132~142 cmほどの小型の馬で、9世紀末にノルウェーから渡来して以来、アイスランドでのみ1100年以上も交雑することなく保たれてきた純血種。比較的おとなしく、毛の色と柄の名前はアイスランド語で100以上ある。ショットグラスを持って乗っても中身がこぼれないと言われるほどの安定した歩き方が得意。近年は海外での人気が高まり、盛んに輸出されている。アイスランド国内で約8万頭、全世界では約25万頭が飼育されている(2012年、アイスランド・レヴュー誌)。
馬を病気などから守るため、アイスランドでは馬の輸入や、輸出した動物を再び国内に戻すことを法律で禁じている。もちろんアイスランド馬以外の品種の馬はアイスランドにはいない。本作に描かれているように、アイスランドの牧畜農家は夏に馬を放牧し、秋の初め頃に村中総出で集める。アイスランドの人々は馬が大好きで、都会に住んでいても、牧畜農家に自分の馬を預けておき、休日に乗馬を楽しむ人が多い。また全国規模の馬の競技会が年に一度、盛大に開催される。
アイスランド人の名前にはファミリーネームがなく、大統領や首相もファーストネームで呼ばれる。ファーストネームの後ろに来るのは父(または母)の名にson(息子)かdóttir(娘)を付けたもので、たとえばベネディクト・エルリングソン監督の名前は「エルリングの息子ベネディクト」の意。
アイスランドは最新の二つの世界ランキングで第1位に輝いている。2014年世界平和度指数(Global Peace Index 2014)と2013年世界男女平等度指数(The Global Gender Gap Index 2013)だ。NATOに加盟してはいるが自国の軍隊を持たず、また世界初の女性大統領が早くも1980年に誕生した国……そんなアイスランドは地球上で最も自由で平和で幸せな国かもしれない。
日本と同様、火山大国のアイスランドは、地震と噴火に対し万全の備えをする一方で、地熱を有効利用。国内の建物の90%以上と170以上の公営温水プールのほとんどを地熱エネルギーでまかなうなど、再生可能エネルギー利用に関して世界の最前線に立っている。
2008年に深刻な金融危機に陥ったが、3年でIMFの支援プログラムを卒業。2012年までに奇跡的な回復を遂げた。特に観光業が大きく貢献している。
太古のままの自然が残り、さまざまな絶景が存在するアイスランドはハリウッド映画のロケ地としても注目を浴びている。『バットマン ビギンズ』(05)、『父親たちの星条旗』(06)、『プロメテウス』(12)、『オブリビオン』『LIFE!』『マイティ・ソー ダーク・ワールド』(13)、『インターステラー』『ノア 約束の舟』(14)などが続々と撮影されている。