映画史上稀にみる緊迫の2時間――、その結末に、世界が心を震わせた。
世界中の観客を魅了した、人間ドラマの最高傑作!!
第61回ベルリン国際映画祭において、映画祭史上初の主要3部門〈金熊賞&銀熊賞(男優賞・女優賞)〉を独占受賞し、第69回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞など賞レースを席巻、本年度第84回アカデミー賞には、脚本賞&外国語映画賞の2部門ノミネートを果たした話題のイラン映画『別離』が、いよいよ日本公開となります。
監督は、アッバス・キアロスタミをはじめ多くの名匠を生み出してきたイラン映画界の新鋭アスガー・ファルハディ。『彼女が消えた浜辺』(ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)受賞)に続く長編第5作目となる本作は、これまでに70冠を超える映画賞を獲得、現在も更新中です。
特筆すべきは、本国イランのファジル国際映画祭や、日本のアジアフォーカス・福岡国際映画祭などで、相次いで“観客賞”を受賞しており、批評家だけでなく一般観客からも絶大な支持を勝ち得ています。
すれ違う思い、絡みあう秘密と嘘――、愛するものとの絆が、いま試される。
離婚の危機を迎える夫婦、つなぎとめようとする娘、そして、彼らの問題に巻き込まれていくもう一つの家族。すべては愛する人のために、守るべきもののために――。それぞれが抱える“秘密や嘘”、胸の奥にしまわれた“真実”が複雑に絡み合い、彼らの人生を翻弄していく――。
リアリティのある巧みな人物描写と、いくつもの伏線を張り巡らせた緊張感溢れるストーリー展開で、観る者は画面から一瞬も目が離せないほど虜になります。
単に善悪では割り切れない人間心理の複雑さを描いた濃密な人間ドラマが、ここに誕生しました。
夫婦の離婚問題から、介護や格差社会の問題、信仰や倫理に関わる立場の相違、果ては司法の在り方までを浮き彫りにする本作は、映画の舞台であるイランのみならず、どこにでも起こりうる物語として、現代社会に生きる私たちすべての心を大きく揺さぶります。
「もしも自分だったら、どうすべきだろうか--。」映画にちりばめられた多くの問いかけは、観終わった後もずっと私たちの心に深く刻まれることでしょう。
Story
テヘランで暮らす妻シミンは、11歳になる娘テルメーの将来のことを考えて、夫ナデルとともにイランを出る準備をしていた。
しかしナデルは、アルツハイマー病を抱えることとなった父を置き去りにはできないと国を出ることに反対。夫婦の意見は平行線をたどり、シミンが裁判所に離婚申請をするが、協議は物別れに終わる。
シミンはしばらく家を出ることとなり、ナデルは父の世話のためにラジエーという女性を雇うことにした。
しかし、ある日、ナデルが帰宅すると、父は意識不明でベッドから落ち床に伏せていた。
ナデルは怒りをあらわにして、ラジエーを問い詰め、彼女を手荒く追い出してしまう。
その夜、ナデルは、ラジエーが入院したとの知らせを受ける。しかも、彼女は流産したというのだった……。