ルミニツァ・ゲオルギウ(コルネリア)

1949年、ブカレスト生まれ。ルーマニアを代表する実力派女優。長年にわたり、ルーマニアの巨匠たちのもとで活躍する一方、ミヒャエル・ハネケ監督の『コード・アンノウン』(2000)等海外の監督たちの作品にも出演。
2000年以降は、ルーマニアの若手の才能あふれる監督たちの作品にも意欲的に出演し、第60回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『4ヶ月、3週と2日』(クリスティアン・ムンジウ、2007)、第65回カンヌ国際映画祭女優賞・脚本賞を受賞した『汚れなき祈り』(クリスティアン・ムンジウ、2012)等で重要な役を担い、ルーマニア・ニューウェーブの傑作として名高い『ラザレスク氏の死』(2005)では、ナムル国際映画祭フランス語作品の最優秀女優賞、フランチ・フィルム・フェスティバルの“リュミエル・デュ・サフィ”賞、2007年のロサンゼルス批評家協会賞最優秀助演女優賞を獲得した。
カリン・ペーター・ネッツアー監督とは2003年の彼のデビュー作品『マリア』からのコラボレーションを続け、本作『私の、息子』ではヨーロッパ映画賞最優秀女優賞にノミネートされた。

ボグダン・ドゥミトラケ(バルブ)

1977年、ブカレスト生まれ。高校時代に演技の道を志す。国立演劇映画芸術大学(National University of Theatre and Cinema Art)を1999年に卒業、直後の2000年に舞台デビューを果たすこととなるが、すぐに映画に転向。長編、短編ともに主演男優として活躍し、2004年『トラフィック』(カタリン・ミツレスク監督)で第57回カンヌ国際映画祭短編部門パルムドール受賞、2011年『ベスト・インテンションズ』(アドリアン・シタル監督)では第64回ロカルノ国際映画祭主演男優賞を受賞する。
また助演としても『ラザレスク氏の死』(クリスティ・プイウ監督、2006)、『ボクシングのレッスン』(アレクサンドル・マブロディネアヌ監督、2007)、『クリスマスにはまって』(ユリア・ルジナ監督、2010)などに出演。『若き男としての戦士の肖像』(コンスタンチン・ポペスク監督、2010)ではGOPO最優秀助演男優賞を受賞した。アメリカのテレビ・シリーズ『In Treatment』のルーマニア版ドラマ化の爆発的ヒットで国民的知名度を誇る俳優となったが、彼のキャリアは映画によるところが大きく、今後のルーマニア映画界を担う実力派俳優である。

イリンカ・ゴヤ(カルメン)

1969年、ブカレスト生まれ。ルーマニアで最も称賛される学生演劇カンパニー‘ポデュル’(屋根裏部屋)に関わったことで役者デビュー。1992年国立演劇映画大学(National University of Theatre and Film)を卒業するとサンディエゴに渡り、‘オールド・グローブ’(グローブ座)大学で演劇コースを受講しながらそのステージに立ち、その後ニューヨークのアメリカン・ミュージック・アンド・ドラマティック・アカデミーのフルブライト奨学生となる。サンディエゴのシビック・ライト・オペラの舞台に出演したのを契機に舞台での活躍が加速し、母国のルーマニアでの活動も含め、ノエル・クレッグ、エリオット・スイフト、アンドレイ・セルバンといった著名な演出家たちの舞台に出演した。中でも、トッド・サロヴェイの「Dybbuk」がロサンゼルスの批評家協会高く評価され、ドラマローグ賞を獲得した。舞台を中心に活躍するイリンカだが、『ロベルタの日記』(1999)、『プアマン・リッチマン』(2006-2007)、『Mothers’Doctors』(2008)といったテレビシリーズでもお馴染であり、また『白いレースのドレス』(ダン・ピタ監督、1988)、『真実の時』(アンドレイ・ブライエル監督、1991)などの映画作品にも出演している。

ナターシャ・ラーブ(オレガ・チェルケス)

1953年、フェデイン生まれ。ルーマニアの演劇界で1988年以降活躍し多くの賞で称賛されてきた。国立演劇映画大学(National University of Theatre and Film)に入学する前はジャズ、伝統音楽、カンツォーネなどの音楽面でラジオ、テレビで活躍。また1979年から1988年の10年間はルーマニアのトップ・ファッション・モデルとしても鳴らした。多くのテレビドラマに出演した彼女だが、コスタ=ガヴラス監督『アーメン』(2002)での助演やアドリアン・シタル監督作品への出演も果たし、特に同監督とのコラボレーションのロカルノ映画祭最優秀監督賞受賞『ベスト・インテンションズ』(2011)での主演やウプサラ映画祭受賞作品、リスボン国際インディペンデント映画祭オンダ・クルタ賞受賞作品『ハウス・パーティ』(2012)が名高い。

フロリン・ザムフィレスク(アウレリアン・ファガラシァヌ)

1949年、カリマネシュティ生まれ。常にルーマニアの演劇シーンをリードしてきた彼のキャリアは30本以上のルーマニア映画への出演を含む。ルチアン・ピンティリエの『De ce trag clopotele, Mitica』 (1981)、ミルチェア・ヴェロイウの『Dincolo de pod』 (1976)、ステレ・グレアの『Morometii』(1988)、ナエ・カランフィルの『Filantropica(慈善事業)』(2002)、クリスティ・プイウの『ラザレスク氏の死』(2005)やカタリナ・ミツレスクの『世界の最後の過ごし方』(2006)、更にテレビシリーズではルーマニア国営テレビ製作のアンドレイ・ブライエル監督の『Lumini si umbre(光と影)』(1981)やアメリカHBOのヒットドラマ『In Treatment』 のルーマニア版にも出演している。彼自身もシェイクスピア、カラジアレ、ムロゼック、ゴルドニ(コメディ・デラルタなどで知られるイタリアの劇作家)らの戯曲の舞台演出も手掛ける。1974年には後進への演技指導も始め、現在ルーマニアで最も尊敬されている、若手俳優たちの指導者的存在でもある。

ヴラド・イヴァノフ(ディヌ・ラウレンティウ)

1969年、ルーマニア北部ボトシャニ生まれ。クリスティアン・ムンジウ監督の第60回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『4ヶ月、3週と2日』における堕胎医役の素晴らしい演技で、ロサンゼルス批評家協会賞を受賞した。隣の人のいいおじさんから気味の悪い変質的者までを演じきれる、イヴァノフの広域で柔軟な演技は、彼をヨーロッパで最も偉大な俳優の一人にしている。出演作品には、第62回カンヌ国際映画祭ある視点部門の最優秀作品賞に輝いた『Police, Adjective』(コルネリウ・ポルムボイウ、2009)があり、同作品でルーマニアのGOPO賞最優秀助演男優賞を獲得した。ほか、『ゴールデン・エイジの物語』(ハンノ・ホファール監督、2009)、『生活の規範』(コンスタンチン・ポペスク監督、2010)、2012年カンヌ映画祭コンペティションFIPRESCI賞受賞の『霧の中で』(セルゲイ・ロズニッツァ監督、2012)などがある。
その才能はルーマニア国外からも注目を浴び、近年ではゴールデン・グローブ賞にもノミネートされたフランス映画『オーケストラ!』(ラデュ・ミへイレアニュ監督、2009)でのピョートル役、ポン・ジュノ監督『スノーピアサー』(2013)での不死身のスナイパー・フランコ役などに抜擢されるなど、全世界の映画ファンに注目される存在となっている。

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