ー メリル・ストリープ(女優)
ー サム・メンデス(映画監督『アメリカン・ビューティー』『007スペクター』)
“怪物的映画作家"と称され、ベネチア、ベルリン、カンヌをはじめ世界の映画賞を席巻してきたフィリピンの鬼才ラヴ・ディアス。最新作にして最高傑作『立ち去った女』で、ついに待望の日本劇場初公開を果たす。
『ラ・ラ・ランド』『メッセージ』ら華やかな話題作がひしめくなか、ベネチア国際映画祭最高の栄誉に輝いた『立ち去った女』。前々作『昔のはじまり』でロカルノ国際映画祭金豹賞、2016年2月には『痛ましき謎への子守唄』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、ベネチアでついに頂点に登りつめたラヴ・ディアスに、サム・メンデス監督率いる審査員団や批評家、観客たちから満場の拍手が贈られた。
ワンシーン、ワンカットの魔術的映像美。
本作は、映画『ショーシャンクの空に』の原点ともなったロシアの文豪レフ・トルストイの短編小説に着想を得た人間ドラマ「God Sees the Truth, But Waits(神は真実を見給ふ、されで待ち給ふ)」。フィリピン現代史を背景に、哲学、宗教、寓話、そして豊かな詩情を織り込み、光と闇、善と悪、罪と赦しの間を彷徨う人間の本質をゆっくりと炙り出す。ラヴ・ディアス作品の特徴である、美しくも徹底的な長回しと、蠱惑的なロングショット。圧倒的な映画体験に身をゆだねる、至福の映画体験が待っている。
ラヴ・ディアスの作品は、平均で5~6時間、時に10時間を超えるなど、観客の度肝を抜く「長尺」をトレードマークとする。その長さにも関わらず、観客はディアス独特のリズムがもたらす“魔術的魅力"に引き込まれ、メリル・ストリープ、サム・メンデスなどハリウッドの映画人らも巻き込んだ《ラヴ・ディアス中毒》を世界中に増やしてきた。しかし本作は、ラヴ・ディアス作品の中では“異例の短さ"となる3時間48分!ベネチア金獅子賞受賞作にして最高傑作の『立ち去った女』は、ラヴ・ディアス入門編として、映画好きであれば必見の一本!!この愉しみを知ったら、もう普通の長さでは物足りないかもしれない。