監督:パブロ・ラライン
Pablo Larrain
1976 年チリ サンティアゴ生まれ。映画、テレビ、コマーシャルの製作会社ファブラ(fabula)を創設。2005 年『フーガ(Fuga )』で長編デビュー。2007年にはマテオ・イリバレン(Mateo Iribarren)とアルフレド・カストロ(AlfredoCastro)の共同脚本を監督した第2作目の長編『トニー・マネロ(Tony Mareno)』が2008 年カンヌ国際映画祭監督週間に選ばれプレミア上映される。続く第3作目『検死(Post Mortem)』はアルフレド・カストロとアントニア・セヘルス主演で2010 年9月ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された。2010 年、チリでHBO が初めて制作した『プロフュゴス(Profugos)』のテレビシリーズをスタートさせ、第2弾は2012 年の6月よりチリで撮影を開始。本作『NO』は彼の長編映画第4 作目である。また、プロデューサー作品として、2013 年ベルリン国際映画祭でパウリーナ・ガルシアが主演女優賞に輝き、2014 年3月に日本でも公開された『グロリアの青春』がある。
脚本:ペドロ・ペイラノ
Pedro Peirano
代表作は2009 年の人気コメディ映画『家政婦ラケルの反乱』(共同脚本/セバスティアン・シルバ監督)。この作品は、サンダンス映画祭にてワールドシネマ・ドラマ部門グランプリと審査員特別賞を受賞し、ゴールデン・グローブ外国語映画賞やインディペンデント・スピリット賞にノミネートされるなど国際的に高い評価を受けた。続いて2011年に共同脚本&監督としてタッグを組んだ『Old Cats(原題)』はその年のCartagena Film Festival、Sarasota Film Festivalで受賞を果たす。また、カミラ・グティエレス、マリアリー・リヴァス、セバスチャン・セプルベダらと共同脚本を担当した『Young & Wild』は2012年サンダンス映画祭ワールド・シネマ ドラマコンペティション部門で脚本賞を受賞。
1988 年、NOのキャンペーンの成功で、ペイラノとアルバロ・ディアスは、ピノチェトの息子 アウグスト・ピノチェト・ジュニアをゲストに迎え、闘論ドキュメンタリー「Nunca digas nunca jamás」を制作。ペイラノはテレビ界で、脚本家、演出家、声優として、幅広く活躍している。
オリジナル戯曲:アントニオ・スカルメタ
Antonio Skármeta
『NO』はチリの小説家アントニオ・スカルメタ 未上演の戯曲「国民投票」の映画化。スカルメタもピノチェト独裁政権から国外に逃れた亡命者の一人で、西ベルリンに落ち着くまで、僅かの間アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに住んでいた。海外亡命中に注目された作品として、1973年にドイツで制作された、チリの事件を扱ったテレビ映画「La Victoria」がある。これはドイツのペーター・リリエンタール監督との共同脚本で、以後ドイツとチリで映画やテレビの脚本と演出の仕事に携わっている。チリの偉大な詩人パブロ・ネルーダをモデルに書いた小説「Ardientepaciencia」は1983 年に米国で「Burning Patience(日本語訳:燃える忍耐)」として出版され、ベストセラーとなる。1994 年にこの小説を映画化した『イル・ポスティーノ』(マイケル・ラドフォード監督)は米アカデミー賞5部門にノミネートされ作曲賞を受賞するなど高い評価を受け、世界中でヒットした。
スカルメタは、独裁政権崩壊後の1989年に故国チリに戻り、2000 年から2003 年までチリの駐独大使を務めた。ほか代表作に、スペインのプラネタ賞を受賞した「ビクトリアのダンス」、2003 年度ユネスコ児童書受賞作品「ペドロの作文」がある。
プロデューサー:フアン・デ・ディオス・ラライン
Juan De Dios Larraín
大学でMBAを取得し法律を学んでいたが、2004 年に兄弟のパブロ・ララインとともに製作会社ファブラ(fabula)を立ち上げる。サンティアゴに本拠を置くEf3と共同で、TVシリーズ「プロフュゴス(Prófugos)」を製作。これは全米にネットワークを持つケーブルテレビ局HBOが初めて南米から放送したTVドラマシリーズで、ドラッグ密輸を行うマフィアとそれを取り締まる連邦局とのクライムストーリー。2011年の放送以来、高視聴率をとり、「Prófugos」のスピンオフがすでにブラジルで作られている。
2011年には初めての英語作品となるウィレム・デフォー主演『4:44 地球最期の日』(アベル・フェラーラ 監督)を製作し第68 回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされた。