パパイヤ・シスターズ インタビュー

――『881 歌え!パパイヤ』に出演することになったきっかけを教えてください。

ヤオ・ヤンヤン(以下、ヤンヤン):ロイストンとミンディーと3人でコーヒーを飲んでいて、オーストラリアかどこかでのんびりしたいねなんて話をしてたんです。そしたら、だったら、短編映画でも作ってお金を儲けてから行こうかなんてロイストンが冗談気味に言って、それじゃあ、私は(その映画で)パパイヤ・シスターズになりたいわって言ったんです。私が育ったところの近くにパパイヤの木があったんですが、パパイヤって言葉の響きが面白いし、みんなよく知ってるから、パパイヤ・シスターズっていう名前で何かがやれたら、面白いんじゃないかって昔から考えていました。だから最初は雑談から始まった企画だったんですが、どんどん企画が膨らんで、ロイストンがお金も集めてきて、長編映画として作ることになりました。

――役作りのために何か準備したことはあったのでしょうか?

ヤンヤン:まず最初に、自分たちの絆を深めることが大事だろうと思って、積極的に逢うことから始めました。互いのつながりが自然になるようにって。ゲータイの勉強もしました。

――ゲータイの勉強とは?

ヤンヤン:ゲータイは、子供の頃から見ていて、習うというほどのこともなかったんですが、それはお客さんの側から見て知っていたわけで、どういうシステムになってるか、どういう風に作られてるかっていうことは全然知らなかったので、やっているところに行って、挨拶して、舞台裏からステージを見せてもらったりしました。

歌に関しては、流れてくる音楽に合わせて、リップシンクしなければならなかったので、歌詞を覚えるのが大変でした。

――ダイエットにも挑戦されたんですよね? 特にミンディーさんが。

ミンディー・オン(以下ミンディー):そうなんです。ごはんは食べずに、魚のスープだけ食べて、体重を落としました。二人で10kgくらい落としたんですよ。落とし過ぎちゃって、衣装がブカブカになったりもしました。

――ロイストン・タン監督というのはどんな人なんですか?

ヤンヤン:素晴らしい監督です。ノーブルでやさしくて、仕事もしやすかった。いろんな提案もしてくれるし、話もちゃんと聞いてくれる。こちらの意見もしっかり受け止めてくれました。

――この映画を観て『ドリームガールズ』に似てるという感想を言う人もいますが、映画に入る前に何か参考にされた映画はあるのでしょうか?

ヤンヤン&ミンディー:特にありません。

――映画に入る前に役柄についてはどう説明されたのでしょうか?

ヤンヤン:この企画には最初から関わって、ミーティングを重ねていったので、撮影に入る前には自分たちの役柄ははっきりと見えていて、セットの中ではもう説明の必要はありませんでした。撮影の時は、ロイストンは、私たちの近くに来なかったくらいなんです。もし自分の役柄がはっきりしていなかったら、いろいろ指示をもらわなくてはいけなかったかもしれませんが。

――撮影中に最も印象に残ったできごとは?

ヤンヤン:お金をかけて作ったゲータイのステージが風雨で壊されてしまったことがありました。私たちは、来なくていいって言われてたんですが、出かけていって、みんなと一緒に後片付けをやりました。

ミンディー:私が髪を切るシーンでは、スタッフが40人くらい集まって立ち会ってくれて、とても感動しました。たくさんの愛があったと思うし、スタッフ全員が家族のようになっていました。

――髪を切ることに抵抗はありませんでしたか?

ミンディー:髪を切るのは一瞬だけど、元に戻すのには2年くらいかかります。だから、本当は髪を切ることに抵抗はないわけではなかったんですが、ロイストンに「大丈夫だから。僕を信じて」と言われて、心を決めることができました。

――きらびやかな衣装がたくさん出てきますが、衣装はどのようにして決まったのでしょうか?

ヤンヤン:全部、衣装デザイナーが作りました。彼が張り切っちゃって、とても豪華な衣装ができていきました。この1年で、彼は作りたかったものを全部作ってしまったんじゃないでしょうか。夢がかなって、彼はとても喜んでいましたね。インディアンとか日本の着物とかはロイストンのアイデアです。

――この映画のように仕事か恋愛かどちらかを選ばなければならなくなったらどうしますか?

ヤンヤン:難しい質問ですね。

ミンディー:私は今は仕事かな。仕事をしてる間も愛は必要なんだけど、どちらかと言えば仕事中心になってしまいます。

ヤンヤン:彼女は仕事中毒なんですよ。

ミンディー:いつもバランスを取るようにしてるんですけど、気がつくと仕事の比重が多くなってしまうんです。

――映画の中ではグアン・インはビッグ・パパイヤを選びますね?

ヤンヤン:私は、これまで強い女を演じることが多かったんです。だから、ロイストンが、これまでと違うことをやらせたいと考えて、こういうキャラクターにしたというところがあります。この役は私にとってもチャレンジでした。

――自分と役柄との共通点は?

ミンディー:私は、自分の愛してる人が困っていたら助けたいと思うし、自分が持ってるものを差し出すと思う。そういう意味では似てるんじゃないでしょうか。

ヤンヤン:私は、女優を始めて10年くらいになるんですが、女優としてビッグ・パパイヤには感じるところがありました。喜びや悲しみがあっても、舞台にはそれを持ち込まないっていう。プライベートで何があっても、舞台ではそれを隠して微笑んでいなくてはいけないっていうのはよくわかります。

それから、私にもミンディーにも姉妹はいないんですが、今回、ビッグ・パパイヤを演じることになって、自分でも驚くくらいリトル・パパイヤに強い愛情を感じました。それは、たぶん自分にも妹がいたらこう感じるだろうなって思える感情で、そういう感情ってこれまで抱いたことがなかったので、自分でも新鮮でした。

――リウ・リンリンさんとか、他の俳優さんとの共演はいかがでしたか?

ヤンヤン:リウ・リンリンさんは、いつも笑みが絶えない人で、映画の中の彼女と同じように本当によく世話してくれました。彼女には、それまでのゲータイ・シンガーとしての経験もあるわけですが、それを惜しみなく私たちに与えてくれました。彼女はとても面白くて、深い愛情を持った人です。

――歌うことについても指導してくれたりしたのでしょうか?

ヤンヤン:よく「ヤンヤン、口を開けなさい」と言われました。発音を心配してくれていて、お母さんみたいに、何かあるとすぐにアドバイスしてくれました。

――この映画が大ヒットしたことによって、何か変わったことはありますか?

ヤンヤン:仕事は増えましたね。街を歩いていても、「あっ、パパイヤ」だって囁かれるようになりましたし。あと、自分でも密かな楽しみなんですが、街中でパパイヤ・シスターズの曲が流れているのを聴くととてもうれしい。友だちもいっぱいできたし、愛のつながりも広がりました。

ミンディー:ミンディー・オンって誰だか説明しなくてもよくなって、エージェントは仕事がやりやすくなったんじゃないかと思います。街で食事をしていても写真を撮られたり、話しかけられたりしています。口を開けたまま写真を撮られたりしてるんですよ(笑)。

――今後の予定を教えてください。

ヤンヤン:舞台の予定があります。それとは別に、自分独りでモノローグの芝居をやりたいと思っていて、そのための準備をしているところです。それから、アジアのいろんな監督と映画の話も進めています。

ミンディー:私は、新作の映画を終えたばかりなんですが、これからもたくさんの映画に出たいと思っています。

――新作っていうのはロイストン・タン監督の新作“12Lotus”のことですよね? どんな物語なのですか?

ミンディー:今はまだ内容については話すことができないんですが、そのうちいろいろわかってくると思います。楽しみにしていてください。

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